第壱話「使徒、襲来」 |
EPISODE:1 ANGEL ATTACK |
テロップ | 時に、西暦2015年 |
放送 | 本日、12時30分、東海地方を中心とした関東、中部全域に特別非常事態宣言が発令されました。住民の皆様は速やかに指定のシェルターに避難してください。繰り返しお伝えいたします・・・ |
葛城ミサト | よりによってこんな時に見失うだなんて・・・参ったわね。 |
電話オペレーター | 特別非常事態宣言発令のため、現在全ての通常回線は不通となっております。 |
碇シンジ | あ、ダメか、やっぱり来るんじゃなかった。待合せは無理か・・・しょうがない、シェルターへ行こう。 |
碇シンジ | うわっ!あぁっ・・・はっ!ぁぁっ! |
伊吹マヤ | 正体不明の移動物体は、依然本市に対し侵攻中。 |
青葉シゲル | 目標を映像で確認、主モニターに回します。 |
冬月コウゾウ | 15年ぶりだね。 |
碇ゲンドウ | ああ、間違いない。使徒だ。 |
テロップ | 第壱話 使徒、襲来 |
碇シンジ | あっ! |
UNパイロット | 目標に全弾命中!おあっ! |
碇シンジ | うわっ!ぉぁっ! かぁっ! |
葛城ミサト | ごーめん、お待たせ! |
碇シンジ | はっ、うわっ! |
青葉シゲル | 目標は、依然健在。現在も第三新東京市に向かい、侵攻中。 |
伊吹マヤ | 航空隊の戦力では、足止めできません! |
UN幹部A | 総力戦だ。厚木と入間も全部上げろ! |
UN幹部B | 出し惜しみは無しだ!何としてでも目標をつぶせ! |
UN幹部B | なぜだ!直撃のハズだ! |
UN幹部A | 戦車大隊は壊滅。誘導兵器も砲爆撃もまるで効果なし、か。 |
UN幹部B | ダメだ、この程度の火力じゃ埒があかん! |
冬月コウゾウ | やはりA.T.フィールドか? |
碇ゲンドウ | ああ。使徒に対し通常兵器では役に立たんよ。 |
UN幹部B | わかりました、予定通り発動いたします。 |
葛城ミサト | ちょっとまさか、N2地雷を使うわけ!?伏せて! |
碇シンジ | あうっ!? |
UN幹部B | やった! |
UN幹部A | 残念ながら君達の出番は無かったようだな。 |
伊吹マヤ | 衝撃波、来ます。 |
葛城ミサト | だーいじょぶだった? |
碇シンジ | えぇ。口の中がシャリシャリしますけど。 |
葛城ミサト | そいつは結構。じゃあ、いくわよっ!せーのぉっ! |
ミサト・シンジ | いーっ!うーんっ!っいっしょ! |
葛城ミサト | ふぅ〜っ。どうもありがとっ。助かったわ。 |
碇シンジ | いえっ、ボクの方こそ、葛城さん。 |
葛城ミサト | ミサト、でいいわよ。改めて、よろしくね、碇シンジ君。 |
碇シンジ | はい。 |
UN幹部A | その後の目標は? |
伊吹マヤ | 電波障害のため、確認できません。 |
UN幹部B | あの爆発だ、ケリはついている。 |
青葉シゲル | センサー、回復します。 |
伊吹マヤ | 爆心地に高エネルギー反応! |
UN幹部B | なんだとぉっ! |
青葉シゲル | 映像、回復します。 |
UN幹部A・C | ほおぅ。 |
UN幹部A | 我々の切り札が・・・。 |
UN幹部C | なんてことだ。 |
UN幹部B | バケモノめぇっ! |
葛城ミサト | ええ。心配ご無用。彼は最優先で保護してるわよ。だから、カートレインを用意しといて、本部まで直通のやつ。そう。迎えに行くのは私の言い出したことですもの、ちゃ〜んと責任持つわよ。じゃっ! |
(しっかしもうサイテー!せっかくレストアしたばっかだったのに早くもベッコベコ。ローンがあと33回+修理費かぁ、おまけに一張羅の服まで台無し。せっかく気合入れてきたのに・・・トホホ) | |
碇シンジ | あの、ミサトさん・・・、あの、ミサトさん! |
葛城ミサト | なにぃ? |
碇シンジ | いいんですか、こんなことして。 |
葛城ミサト | ああ〜、いいのいいの。今は非常時だし、車動かなきゃしょうがないでしょ。それにあたし、こう見えても国際公務員だしね。万事オッケーよ。 |
碇シンジ | 説得力に欠ける言い訳ですね。 |
葛城ミサト | つまんないの。かわいい顔して、意外と落ち着いてるのね。 |
碇シンジ | そうですか・・・ |
葛城ミサト | あれ、怒った?ごーめん、ごめん。おっとこのこだもんね〜。 |
碇シンジ | ミサトさんこそ、年のわりに子供っぽい人ですね。 |
葛城ミサト | くぅ〜っ! |
碇シンジ | うわぁ〜! |
冬月コウゾウ | 予想通り、自己修復中か。 |
碇ゲンドウ | そうでなければ、単独兵器として役に立たんよ。 |
冬月コウゾウ | ほう、大したものだ。機能増幅まで可能なのか。 |
碇ゲンドウ | おまけに知恵もついたようだ。 |
冬月コウゾウ | 再度侵攻は、時間の問題だな。 |
アナウンス | ゲートが閉まります。ご注意ください。発射いたします。・・・ |
碇シンジ | 特務機関ネルフ? |
葛城ミサト | そう。国連直属の非公開組織。 |
碇シンジ | 父のいるところですね。 |
葛城ミサト | まね〜。お父さんの仕事、知ってる? |
碇シンジ | ・・・人類を守る、大事な仕事だと先生からは聞いてます。 |
UN幹部C | 今から本作戦の指揮権は君に移った。 |
UN幹部B | お手並みを見せてもらおう。 |
碇ゲンドウ | 了解です。 |
UN幹部C | 碇君、我々の所有兵器では、目標に対し有効な手段が無いことは認めよう。だが、君なら勝てるのかね? |
碇ゲンドウ | そのためのネルフです。 |
UN幹部C | 期待しているよ。 |
伊吹マヤ | 目標、未だ変化なし。 |
日向マコト | 現在、迎撃システム稼働率7.5%。 |
冬月コウゾウ | 国連軍もお手上げか。どうするつもりだ? |
碇ゲンドウ | 初号機を起動させる。 |
冬月コウゾウ | 初号機をか。パイロットがいないぞ。 |
碇ゲンドウ | 問題ない。もう一人の予備が届く。 |
碇シンジ | これから、父のところへ行くんですか? |
葛城ミサト | そうね、そうなるわね。 |
碇シンジ | (・・・父さん・・・) |
葛城ミサト | あっそだ!お父さんから、IDもらってない? |
碇シンジ | あっ、はい。どうぞ。 |
葛城ミサト | ありがと。じゃぁ、これ、読んどいてね。 |
碇シンジ | ネルフ? |
(父さんの仕事・・・) | |
なんかするんですか?僕が。 | |
・・・そうですね。用も無いのに、父が僕に手紙をくれる筈、無いですよね。 | |
葛城ミサト | そっか、苦手なのね、お父さんが。あたしと同じね。 |
碇シンジ | んっ? |
あっ、すごい!ホントにジオフロントだ! | |
葛城ミサト | そ。これがあたしたちの秘密基地、ネルフ本部。世界再建の要、人類の砦となるところよ。 |
アイキャッチ | 新世紀エヴァンゲリオン 〜EVANGELION〜 |
アイキャッチ | NEON GENESIS EVANGELION EPISODE:1 ANGEL ATTACK |
葛城ミサト | おっかしいな〜。確かこの道のハズよねぇ〜。 |
うわっ、これだからスカート穿きづらいのよね、ここ。しっかしリツコはどこ行っちゃったのかしら〜。ごめんね〜、まだ慣れて無くて。 | |
碇シンジ | さっき通りましたよ、ここ。 |
葛城ミサト | ・・・でも、大丈夫。システムは利用するために、あるものね。 |
館内放送 | 技術局一課、E計画担当の、赤木リツコ博士、赤木リツコ博士、至急、作戦部第一課葛城一尉までご連絡ください。 |
赤木リツコ | あきれた。また迷ったのね。 |
葛城ミサト | うひいっ!あ、あらリツコ。 |
赤木リツコ | 何やってたの、葛城一尉。人手も無ければ、時間も無いのよ。 |
葛城ミサト | ごめっ! |
赤木リツコ | ふぅ〜。・・・例の男の子ね。 |
葛城ミサト | そう。マルドゥックの報告書による、サードチルドレン。 |
赤木リツコ | よろしくね。 |
碇シンジ | あっ、はい。 |
葛城ミサト | これまた父親そっくりなのよ、可愛げのないところとかね。 |
碇ゲンドウ | では後を頼む。 |
冬月コウゾウ | 三年ぶりの対面、か。 |
日向マコト | 副指令、目標が再び移動を始めました! |
冬月コウゾウ | よし、総員第一種戦闘配置。 |
館内放送 | 繰り返す、総員第一種戦闘配置、対地迎撃戦用意。 |
葛城ミサト | ですって。 |
赤木リツコ | これは一大事ね。 |
葛城ミサト | で、初号機はどうなの? |
赤木リツコ | B型装備のまま、現在冷却中。 |
葛城ミサト | それってホントに動くの〜?まだ一度も動いたこと無いんでしょ? |
赤木リツコ | 起動確率0.000000001%。オーナインシステムとはよく言ったものだわ。 |
葛城ミサト | それって、動かないってこと? |
赤木リツコ | あら失礼ね。ゼロではなくってよ。 |
葛城ミサト | 数字の上ではね。ま、どの道、動きませんでした、ではもう済まされないわ。 |
碇シンジ | あっ、あのっ!真っ暗ですよ?うわっ! |
顔?!巨大ロボット?! | |
赤木リツコ | 探しても載ってないわよ。 |
碇シンジ | へっ? |
赤木リツコ | 人の作り出した究極の凡用人型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン。その初号機よ。建造は極秘裏に行われた。我々人類、最後の切り札よ。 |
碇シンジ | これも父の仕事ですか・・・? |
碇ゲンドウ | そうだ。 |
碇シンジ | あっ?! |
碇ゲンドウ | 久しぶりだな。 |
碇シンジ | 父さん・・・ |
碇ゲンドウ | ふっ。出撃。 |
葛城ミサト | 出撃!?零号機は凍結中でしょ?!まさか、初号機を使うつもりなの? |
赤木リツコ | 他に道は無いわ。 |
葛城ミサト | ちょっと、レイはまだ動かせないでしょ!?パイロットがいないわよ! |
赤木リツコ | さっき届いたわ。 |
葛城ミサト | マジなの? |
赤木リツコ | 碇シンジ君? |
碇シンジ | はい。 |
赤木リツコ | あなたが乗るのよ。 |
碇シンジ | へっ? |
葛城ミサト | でも、綾波レイでさえ、EVAとシンクロするのに7ヶ月もかかったんでしょ?今来たばかりのこの子にはとても無理よ! |
赤木リツコ | 座っていればいいわ。それ以上は望みません。 |
葛城ミサト | しかしっ! |
赤木リツコ | 今は使徒撃退が最優先事項です。そのためには誰であれ僅かでもEVAとシンクロ可能と思われる人間を乗せるしか、方法は無いわ。分かっているはずよ、葛城一尉。 |
葛城ミサト | ・・・そうね。 |
碇シンジ | 父さん、なぜ呼んだの? |
碇ゲンドウ | お前の考えている通りだ。 |
碇シンジ | じゃあ、僕にこれに乗って、さっきのと戦えって言うの? |
碇ゲンドウ | そうだ。 |
碇シンジ | 嫌だよそんなの!何を今更なんだよ!父さんは、僕が要らないんじゃなかったの? |
碇ゲンドウ | 必要だから呼んだまでだ。 |
碇シンジ | なぜ、僕なの? |
碇ゲンドウ | 他の人間には、無理だからな。 |
碇シンジ | そんな、見たことも聞いたことも無いのに、出来るわけ無いよ! |
碇ゲンドウ | 説明を受けろ。 |
碇シンジ | そんな・・・!できっこないよ!こんなの乗れる訳無いよっ! |
碇ゲンドウ | 乗るなら早くしろ。で、なければ帰れ! |
冬月コウゾウ | 奴め、ここに気付いたか。 |
赤木リツコ | シンジ君、時間が無いわ。 |
葛城ミサト | 乗りなさい。 |
碇シンジ | 嫌だよ・・・せっかく来たのに、こんなの無いよっ! |
葛城ミサト | シンジ君、何のためにここに来たの?だめよ、逃げちゃ。お父さんから、何より自分から。 |
碇シンジ | 分かってるよ、でも、出来るわけ無いよっ! |
碇ゲンドウ | 冬月、レイを起こしてくれ。 |
冬月コウゾウ | 使えるかね? |
碇ゲンドウ | 死んでいるわけではない。 |
冬月コウゾウ | 分かった。 |
碇ゲンドウ | レイ・・・ |
綾波レイ | はい。 |
碇ゲンドウ | 予備が使えなくなった。もう一度だ。 |
綾波レイ | はい・・・ |
赤木リツコ | 初号機のシステムをレイに書き直して、再起動! |
伊吹マヤ | 了解、現作業を中断、再起動に入ります。 |
碇シンジ | (やっぱり僕は、要らない人間なんだっ・・・!) |
綾波レイ | くっ・・・!はぁっ、はぁっ! |
葛城ミサト | 危ないっ! |
メカニックA | エヴァが動いた?どういうことだ? |
メカニックB | 右腕の拘束具を引きちぎっています! |
赤木リツコ | まさか、あり得ないわ!エントリープラグも挿入していないのよ!?動くはず無いわ! |
葛城ミサト | インターフェイスも無しに反応している?というより、守ったの?彼を!・・・いけるっ! |
綾波レイ | はぁっ・・・くっ!はぁっ、はぁっ・・・ |
碇シンジ | (逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだっ!) |
やります、僕が乗ります! |
メカニック男 | 冷却終了。 |
メカニック男 | 右腕の再固定、完了。 |
メカニック男 | ケージ内、全てドッキング位置。 |
伊吹マヤ | 了解、停止信号プラグ、排出終了。 |
メカニック男 | 了解、エントリープラグ挿入。 |
メカニック女 | 脊髄連動システムを解放、接続準備。 |
メカニック男 | プラグ固定、終了。 |
メカニック男 | 第一次接続開始。 |
メカニック女 | エントリープラグ、注水。 |
碇シンジ | う、なんですか、これ。うわっ、あっ、うぷっ! |
赤木リツコ | 大丈夫、肺がLCLで満たされれば、直接血液に酸素を取り込んでくれます。すぐに慣れるわ。 |
碇シンジ | ぶはっ!うわっ、気持ち悪い。 |
葛城ミサト | 我慢なさい!男の子でしょ! |
碇シンジ | うーん・・・ |
メカニック男 | 主電源接続! |
メカニック男 | 全回路、動力伝達問題なし。 |
赤木リツコ | 了解。 |
伊吹マヤ | 第二次コンタクトに入ります。 |
A10神経接続、異常なし。 | |
メカニック女 | LCL転化率は正常。 |
赤木リツコ | 思考形態は、日本語を基礎原則としてフィックス。 |
初期コンタクト、全て問題なし。 | |
伊吹マヤ | 双方向回線、開きます。 |
シンクロ率、41.3%。 | |
赤木リツコ | すごいわね。 |
伊吹マヤ | ハーモニクス、すべて正常値。暴走、ありません。 |
赤木リツコ | いけるわ! |
葛城ミサト | ・・・発進準備!! |
メカニック男 | 発進準備!第一ロックボルト外せ! |
メカニック男 | 形状確認!アンビリカルブリッジ、移動開始! |
メカニック男 | 第二ロックボルト外せ! |
メカニック男 | 第一拘束具、除去。 |
同じく、第二拘束具を除去。 | |
一番から十五番までの、安全装置を解除。 | |
メカニック女 | 解除確認。 |
現在、初号機の状況はフリー。 | |
メカニック男 | 外部電源、充電完了。 |
外部電源接続、問題なし。 | |
伊吹マヤ | 了解、EVA初号機、射出口へ! |
伊吹マヤ | 進路クリヤー、オールグリーン。 |
赤木リツコ | 発進準備完了! |
葛城ミサト | 了解。・・・構いませんね? |
碇ゲンドウ | もちろんだ。使徒を倒さぬ限り我々に未来は無い。 |
冬月コウゾウ | 碇。本当にこれで良いんだな? |
碇ゲンドウ | ・・・ |
葛城ミサト | 発進! |
(シンジ君、死なないでよ。) |
テロップ | つづく |
テロップ | 予告 |
葛城ミサト | EVAは使徒に勝つ。だがそれは全ての始まりに過ぎなかった。父親から逃げるシンジ。ミサトの傲慢は、自分が彼を救おうと決心させる。次回、「見知らぬ、天井」。この次も、サービス、サービスぅ! |